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主人公のが長くて明智がとろとろになっちゃう話というお題をいただきました。
本編数年後20代で同棲している主明のお話です。
バイカラーのマフラーに細身のセーター、襟に刺繍の入ったシャツ、ストレッチがよく効いた黒のパンツ。新宿のメンズ館で買った冬物を、彼はレジの横でひとつの紙袋にまとめた。
かたわらで待っていた明智はトレンチコートの胸ポケットにスマホをしまって、彼の腕をかるく引く。
「暗くなる前に帰ろう。夜、冷えこむみたいだし」
「ああ」
年が明けても日が落ちるのはまだ早かった。建物を後にして大通りに出ると、背の高いビル群の影はもうほとんど一帯を覆っている。体を震わせて土曜の人波にまぎれ、二人はなるべく西日の差す道を選んでJLの新宿駅へ歩く。
途中の信号で立ち止まると、彼はとなりの明智を振り返った。
「選んでもらって助かった。去年買ったセーター、もうけっこう傷んでたし」
明智はふん、とすました顔をする。
「当たり前だろ。僕、ダサいやつと一緒に歩くなんてゴメンだし」
彼はくしゃりと笑った。数年前に同棲をはじめて以降、明智はよく彼の服を見立てている。おかげでこの頃はぴったりしたラインのフォーマル寄りな服が増えた。
彼はさしてこだわりがある方ではないから、明智が好きなものを着ればいいやと思ってそのまま腕を通している。伊達メガネだって他の人の前ではかけろと言うからあいかわらずかけているし、今着ている長めのチェスターコートもたしか明智がいいと言ったそれだろう。
人が多くて薄暗いのをいいことに明智は彼のコートの腕をつかんで歩いていて、まるで自分の男を見せびらかすように得意げだった。明智のこの顔が見られるなら、彼はどんなにダサい服だってよろこんで着るにちがいない。
二十代半ばすぎた明智はうつくしい男だった。やはり細身のぴったりしたコートのおかげでスラリとスタイルがいいのが人ごみでもよく目立つ。学生の頃のあどけなさは抜け、中性的な印象をのこしたまま、明智はきれいな大人の男に変貌していた。
道や駅ですれちがう女性たちはチラチラとこちらを振り返っては名残り惜しげに歩いていく。彼だって何年見つめても全然飽きないくらいだ。
帰り道の山手線に揺られてぼんやり恋人の横顔をながめていると、電車は信号で不意に急停止をして彼は明智をあわてて受け止める。やわらかな茶髪が彼の頬に触れて、明智は彼の二の腕をつかんだ。
「大丈夫か?」
「うん。ちょっと、びっくりしただけ」
夕方の車内にはそこそこの人が乗っていた。明智のとなりに立つ中年男性の近さを気にして彼はすぐそばの腰をそっと引きよせる。ついでにそろりとコートの尻を撫でた。明智はぴくりと片眉を持ち上げる。
「……ちょっと、」
ひそめられた文句が彼の耳たぶに触れた。彼はたいして悪びれず、たまたま当たったようなそぶりをする。
明智は白い頬をうっすらと染めて、彼のすねを革靴の先で軽く蹴った。人目を気にしているから大して痛くはない。明智の方だって本気で怒っているわけではないのがわかって彼は破顔した。なにニヤニヤしてんだよ、拗ねた顔の明智に叱られる。不機嫌な顔さえかわいいので困った。
「食材、ちょっと多めに買っていこう」
マンションの最寄り駅でホームに下りると彼は言った。自宅は西口でスーパーは東口だ。冷たい風に顔をしかめた明智はううんと首をかしげる。
「明日じゃダメ? 夕飯、昨日の残りでもいいし」
「明日は家でゆっくりしようと思って」
「んー……」
めんどくさいけど、まあ、いいよ、という意味の「んー」だ。さすがに昔よりは明智語をわかっている。
「夜、明智の好きなもの作ってやるから」
機嫌をとるようにそう言えば明智はふふんと笑って、その場でくるりと優雅に一回転してみせた。何歳になっても単純なさまに彼は目をほそめ、上りのエスカレータに乗る。
改札を抜けて彼はふと、すれちがう若い少女に目を向けた。いかにも週末でこれからデートらしい、長い黒髪を丁寧に巻いた子だ。
首まで振り返って見ているととなりの明智はムッとして、オイッと彼の尻に膝蹴りを入れてくる。
「ッッ……!! い、いだい、あげち……」
「なに? 浮気? もっかい死ぬ?」
昔パレスで殺されてるから言葉の凄みがちがう。券売機の前で尻をおさえ、彼はふるふると首を振った。
「いや、服がさ」
「服?」
「胸のあいたセーター着てて」
明智が着たらエロいなと思って見てた。真顔でそう言うとまた蹴りが飛んでくる。
「この、変態め」
彼は鼻から落ちかけた眼鏡をよろよろと直した。明智はあきれた目つきで彼を見て、それから、すこし考えてまたたずねる。
「ねえ、かわいい女の子のこと見ながら僕のこと考えてるの?」
「? ……明智の方がかわいい」
というより、面食いな彼は高校二年で明智に出会ってこの顔で抜くようになってからほとんどの顔に興味を持てなくなってしまったし、大学で明智と付き合い始めてからは他の誰かをそういう目で見たことがない。
明智は彼の返事に悪い気はしないようすで、ふうんとうなずいた。
「物好きな変態だね」
「うん」
「……もう一発くらいいっとく?」
「明智しか見ないからもう許して」
どうやら正解の選択肢だったらしい。明智語検定一級をとっておいてよかった。
一週間分の食材を買ってマンションに帰ると、彼は約束のとおりに明智の好物を作ってダイニングテーブルにならべた。料理は得意で明智にたくさん作ってやりたいから、二人暮らしにしては大きい白木の丸テーブルだ。
冬色のランチョンマットを二枚敷き、その上にホワイトクリームのオムライスとサラダにスープのセット。ガラスのデザート皿にはパンナコッタがちょこんとよそられている。二人そろって久々に土日の連休で浮かれていたので今朝作っておいた。
向かい合って椅子に座り、明智はご機嫌でスプーンを持ち上げる。
「わ、おいしい……!」
お気に入りのオムライスをひと口食べるなり明智はぱっと顔をほころばせた。彼もつられて嬉しくなる。
素直じゃない明智はあいかわらず懐かないネコみたいにツンツンしていたが、彼の作った料理については素直に笑顔をみせるようになっていた。よろこぶ顔を楽しくながめながら彼もゆっくりと食事をとる。
キノコがたっぷり入ったホワイトソースは濃厚で、隠し味のブルーチーズが効いていた。半熟の卵がとろりと甘くてパラッとしたチキンライスの食感がいい。あっさりしたサラダがよく合いカボチャのポタージュの温かさにほっとする。
ラズベリーが飾られたパンナコッタは好評で、明智は嬉しげにスマホで写真を撮っていた。この前たまたまのぞいた画像フォルダには彼の作った料理がちょこちょこ映っていて、かわいい男だなと思った。
先にシャワーを浴びた彼が寝室のベッドで本を読んでいると、湯気を立てた明智はほかほかとやって来てダブルベッドにちょんと腰を下ろした。冬物のもこもこした、長袖のかわいいパジャマをまとっている。付き合い出したころは普通にメンズの紺や黒で寝ていたが、ドラマを見ていた彼がそういうのをいいなと言ったらいつの間にかこれになっていたのだ。
もしかすると今日見かけたセーターも、気が向けば着てくれることもあるかもしれない。天邪鬼で口には出さないが、明智は行為や仕草で彼のことを憎からず思っているのを伝えてくる。
活字から顔を上げた彼は長いまつ毛をやわらかにカーブさせてほほえみ、明智はシーツの上に手をつきかたわらにそっと寄り添ってくる。
「……寒いね」
風呂上がりでほかほかで、スウェットの彼よりよっぽど暖かい格好の明智がぽつりと言った。彼は思わず噴き出しそうになって、けれどここでそうすると明智が不機嫌に離れてしまうとわかっているので口もとをおさえる。
コホコホとせきこむフリをして、そうだなとうなずいた。明智は神妙な顔でウンと首を縦に振る。
冬場は寒さを口実によくこうしてくっつきたがった。べつに理由がなくてもそうすればいいのにと彼は思うけれど、プライドの高い明智にはそういったものが必要らしい。
ハードカバーをパタンととじて置き、彼は恋人の肩を抱き寄せて顔を近づけた。明智はびくりと身を震わせ、おずおずと彼の首もとに頭をもたれてくる。さわやかなシャンプーと上品な香水の匂いがする。
「まあ、ステキな香りね」
ルブラン常連の女性客にそう言われたのを彼はふと思い出した。彼自身は香水をつけないから、寝ているあいだに明智のそれが移ったのだろう。くつくつと笑って明智のほそい髪を撫でる。
「ん……なに笑ってるの?」
「いや、思い出し笑い」
「……僕のこと?」
「うん」
「……なら、いいけど」
ベッドの上の明智はすこしだけ甘えただ。いささか緊張したようすで小さく息を吐いて、彼のスウェットを指先でかるくつまんでくる。
彼は明智のあごをつかんでやさしくキスをした。そうしてそっと身を離す。
「寝ようか」
「え、」
明智の向こうのベッドランプに手をのばして白い紐を下に引こうとすると、しかし明智はその手をガッとつかむ。
「明智?」
「……ッ! おま、おまえ……ッ! わざと、やってんだろ……!?」
「…………何のこと?」
彼は人の悪い笑みを浮かべて首をかしげた。明智は首まで真っ赤にして涙目になる。ギャンギャン吠えながら彼を押し倒して、その腹の上に乗った。
「もう、こうなったら俺の好きにしてやるんだからな」
恨めしげにそう言って、明智は彼のスウェットをぺらりとめくる。彼は声を上げ笑った。明智の言うことはもちろん当たっていた。
この一週間ほど彼はベッドで明智に触れなかった。向こうが探偵の仕事でホテルに泊まっていたこともあるし、たまたまルブランを閉めるのが遅くなった日もある。疲れていてそのまま眠ったりなんだりで、いつもより長いこと間があいていた。
普段は週二、三の頻度だから彼もさすがに溜まっていたが、明智もおんなじことだろう。昨日の夜はやっぱりソワソワとソファで彼にくっついてきていた。かわいいからそのまましてもよかったのだが、たまにはすこし焦らしてやりたい気分になって、彼はわざとテレビのリモコンをつけたのだ。
「今日映画やってるよな、観たかったやつなんだ」
「あ……そう、そうなんだ」
明智はすごすごと引き下がってその日は結局そのままになって、けれど今朝起きてからも明智はずっと彼を気にしていた。
「ねえ、今日はなにする? 予定、特に決めてなかったよね」
遅く起きたベッドで脚を絡めていちゃいちゃしながら明智が聞いた。このままベッドにいたいって意味だ。気がついた上で彼は買いものに行きたいと言った。
「え? 新宿? ん……まぁ、いいけどさ」
いつもの明智なら自分の服や他のビルを見たがるのに今日はサラッと帰ってきたし、彼が食材を買いに寄り道をしようとさらに焦らすとやずかに不服な目をしていた。
電車の揺れたときもあるいはわざと彼に寄り添ってきたのかもしれなかった。他の客はそれほど体勢をくずしてはいなかったからだ。
素直に自分から誘えなくて寂しさに気づいてほしがるところがいじらしい。
彼は脚のあいだの小さな頭をゆるゆると撫でた。あぐらをかいた彼の前で上を脱いで四つん這いになって、明智はけんめいに舌をのばして彼のそれを舐めている。
「はぁ……んん……っはむ、」
苦しげに息を吐きながら、明智は唇についた体液をぬぐった。彼は明智の濡れた頬に触れる。
「大丈夫? 無理しなくていいのに」
「べつに。このくらい、どうってことないし」
強がりの明智はすぐ嘘をついた。火照った顔の横で上を向いて揺れるそれは平均とくらべるとずいぶん長くて大きい。明智は大きく口をあけて飲みこもうとしたけれど半分も入らず喉につかえてしまった。
ケホケホと軽くむせながらそれでも口の中でもごもごと刺激され、彼は眉をしかめて息を飲む。熱い粘膜に先端を包まれる感触にビリビリした快楽が腰骨を走る。
口を離して呼吸をととのえた明智はかたちのいい唇をむぐむぐとさせて、唾液をたらりとそれに垂らした。
「……っ!」
扇情的な仕草に彼は思わず太くしてしまって、明智はすこしびっくりしながらも顔を傾けてまたそれを舐めてくれる。左を向き、右を向き、根もとの方まで歯を立てず丁寧に口づけ遠慮がちに手で揉んでさらにそれを硬くする。
殺されたくないから本人に確かめたことはないが、明智はこれをするのが好きだった。機嫌がいいとよく舐めたがるし、彼が頼むと文句を言いながらも断られた試しはあんまりない。さすがに付き合い始めた頃からこうではなかったと思うから、彼とするうちこれが気持ちいいので気に入ったのかもしれない。
昼間は清楚な顔して彼ばかりを変態と罵るくせに、夜はこんな物欲しげな目で彼のそれを舐めるのだ。彼はどうにもたまらなくなって明智の肩をつかむ。
「もういいよ。……ごめん、慣らしたいから、向こう向いて」
頬をつたう汗をぬぐって明智はゆるく首を振った。
「?」
「……いい。準備、してあるから」
彼はもこもこのズボンに視線を下げた。
「……おい、見るな」
「見ないと続きできない」
「そんな目で見んなっつってんだよ」
ふくれる頬を無視して彼は明智のズボンに手をかけた。膝までするりと下ろして絶句する。
「え……えっ?」
履いてない。いや、ズボンは履いているが下着がない。
「……お前、どうせすぐヤると思ってたし」
うつむいて目線をそらした明智がぼそりと言った。彼は言葉を失ったままだ。焦らして明智の方からねだってくるのを楽しむつもりがあまりのやらしさにほとんどそのまま射精しそうだった。
はたと気づいて明智を押し倒し、右脚、左脚と持ち上げ小ぶりな尻に手を伸ばす。
「ちょ、ちょっと! 乱暴にすんなよ、」
明智が吠えるのでキスしてふさぐ。準備したという場所はかるくなぞっただけでもローションがだらだらと指についた。
ごくりと唾を飲んだ彼が入れようとすればゴムをつけろと怒られて、あわてて用意をして性急に押し当てる。
明智はころがっていた枕を両手でぎゅうっと抱き締めた。いじらしい恋人を傷つけないよう気遣って、彼はそっと身をすすめる。
「っ……う……」
「痛い?」
「うぅん、いれて……」
かぼそい声で言われるとますます大きくなってしまって太い部分を通すのが大変だった。じりじりと腰を圧してせまいところを抜け、よく濡れた部分にぬるりと突き入れる。
彼は低い声を漏らしてひたいの汗をぬぐった。熱くてどろどろに溶けそうだ。気をつけていないとすぐ出そうなほど気持ちいい。
初めて明智とこうした日は半分くらいしか入らなかったが何年も体を重ねているうちさすがに慣れてきて、根もとの近くまでおさめて彼はハアッと息を吐く。
「明智、大丈夫? つらくない?」
「ん……ちょっときついけど、平気」
本人の言うとおり中はよくほぐれているようだった。プライドの高い明智が浴室でここをこんな風にするさまを思うと下腹が熱くなって、彼はゆっくりと体を動かしはじめる。
「あ……! あっ、はあ、ぅん……っあぁ……!」
明智は悩ましげに首を振って切ない声を上げた。痛みはなさそうでほっとして、彼は明智の太腿をつかんでコンコンとかるく奥をたたく。
「ッッ……!! ひっ……んんっあ、ぁん、あっ! で、でちゃう……っ」
「いきそう? いいよ」
自分もすぐ出そうだと耳もとで告げて、すこし強く出し入れする。明智はきゃあんと高く鳴いて吐き出して、きつく締められて彼もゴムに出した。一週間ぶりでさすがに早い。
余韻も冷めやらぬうちにゴムを替えてまた入れて、きゅうきゅうと締めてくる感覚にぶるりと震える。明智はひっきりなしに喘いで感じ入った。
しばらくやっているとシーツについた膝がすこし痛くなってきて、彼は身を倒して明智の顔をのぞきこんだ。
「明智、上、乗れる?」
「え……っ? あ、あっ……ぅ、うん、」
気持ちよさにとろんとしていた明智はややあってうなずいて、彼の手に起こされてあぐらの上に乗った。
弱々しい膝がゆっくりと下りて、お腹の奥まで受け入れて止まる。明智は涙に濡れたまつ毛を震わせてつながったところを見た。飲みこみきれなかった部分がまだ残っている。
「う……うぅ〜……っ」
明智は膝に力を入れて、最後まで健気にそれをくわえようとした。それでも上手くいかず彼の肩に両手をまわして荒く息を吐いている。
「ごめん、明智、……いいか?」
張りついた茶色い前髪をやさしく撫で、彼は明智のおでことおでこをくっつけてたずねた。熱に浮かれた赤い目が彼を見つめ、うん、とうなずく。彼は明智の腰をつかんで、ぐ、と両手で強く引きよせた。
「…………ッッッ!!」
明智は背をのけぞらせて無言の悲鳴を上げ、彼はぴったりひとつになった衝撃に奥歯を噛む。
すこし無理させて奥の奥まで入れると、明智はそこが善くてたまらないらしかった。ガクガク痙攣する体を抱き締めてなだめ、彼は歯を食いしばって明智を揺する。
明智は言葉にならない声を漏らして彼にすがった。首筋からムッと強い香水の匂いがする。彼は興奮しきって目の前の華奢な首にガブリと噛みついた。明智は全身を震わせて彼の腹をびちゃりと汚す。
とうとう明智は体に力が入らなくなって、彼はまた明智を押し倒して腰を振った。
「うぁ……っあ、あーっ……! ぁん……っあぁ、」
明智は焦点の合わない目でなんとか彼を探して、弱々しい手でキスをねだった。望まれるまま口づけて頭を撫で、何度か痙攣して彼も吐精する。
肺が壊れそうに熱くて、彼はキスをしながら呼吸をなんとか落ちつけた。ゆっくりと身を引いてゴムを新しくしようとすると、明智はやだやだと首を振る。きて、と切なげな声に呼ばれ、彼はすこしでも離れたくなくなってそのまま突き入れる。
明智はうれしげに彼の背に手を回した。ちゅうちゅうと肩口に吸いついて懐いてくる。すっかりとろけて平素の凛々しい仮面は剥がれてしまっていた。彼の名前を甘く呼んで、好き、好き、とそれ以外の単語を忘れてしまっている。
先ほどまでより熱く吸いついてくる感触に耐えながら、彼はぎゅうっと明智を抱いた。
「ひゃあっ……! ぁん、す、すき、あ、……すき……っ」
素直になれない明智がこのときばかりは目にハートを浮かべて好きだとくりかえすさまがたまらなく愛おしい。自分も好きだと返せば中がきつく締まって明智は何度か達してしまったようだった。彼は嬉しくて明智の好きなところばかりこする。
あのうつくしい明智が、街を歩けばみなが振り返る美青年が、自分とこうするときだけこんなにとろけてかわいくなるのをひとり占めするのが好きだった。
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